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  芋焼酎紀行  
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第10回
芋焼酎紀行/2
≪酒販店の生き残りをかけた最後の切り札(2)≫
そ んな訳で、蔵に集まって頂いた3人に、今度は隠し玉の2点を飲んでもらうことにしました。
1点は秋田生まれの麹と酵母で造った焼酎です。昨年の夏、秋田に『麹・酵母』を製造している会社を訪問して話を聞いたところ、これならやれるんじゃないかと思いまして、今期の製造で少しだけ造ってみました。(初めての試みはたくさん仕込むと失敗が恐いですからね。)香りは私が思った以上にふくよかな香りがしまして、味はやや荒さもありますが、初めてにしてはまぁ良い方ではないかと思いました。
次にもう1点ですが、これは黒麹でして愛知県産です。黒麹独特の風味があり、玄人に受けるタイプに仕上がりました(どっちを選ぶかは青年の皆さん次第なんですが・・・)。  
では、ここで酵母と種麹について特徴や産地など、
私の知ってる限り(ほんのわずかなんですが・・・)を書いてみましょう(あくまで弊社で使用した結果で、一般的ではないかもしれませんので、他社との比較は出来ないと思いますが)。
酵母は、鹿児島県酒造組合が分譲しているのが3種類ありまして、2号、4号、5号とあります。
2号は九州の酒造メーカーの約8割で使用されていて、味は甘みがあって香りはふくよかで芋の特徴を引き出してくれますね。4号は、華やかな香りで吟醸香の高いソフトな焼酎に最適ですね。次に5号なんですが、残念ながら、まだ使ったことがなくて何とも言えませんが、重厚で甘い焼酎が出来ると言われています(今年はチャレンジして見ようかと思っています)。
次 は種麹ですが、
鹿児島、愛知、大阪、秋田と各メーカーがあり、それぞれに特徴があるみたいです。
鹿児島では代表的なのが河内菌ですね。白麹、黒麹といろいろあって芋焼酎の種麹ではこれが一番の主流みたいなものです。白麹は芋の香りが引き立ち、味もふくよかですね。黒麹については、麹を造るときに胞子が飛んでそこら中真っ黒になり、人間も口、鼻、手などが真っ黒になります。味は丸みがあって甘く、香りはかなり強くて芋独特の香りがします。芋焼酎が始めての人にはちょっと無理かな・・・?でも、飲み続けたら味と香りの奥深さはきっとクセになると思いますよ。
私もまだ経験が浅い為、全部のメーカー種麹を使用していません。自分でメーカーを訪ねて話を聞いたりしながらやっていますので、詳しく説明できるまではもう少し経験を積まないといけませんね。
さ て、話を元に戻しまして新しいPB商品の件ですが、
以前同様、居酒屋で食べながら飲んでみて決めようという事なりまして、秋田生まれと愛知生まれの2本をぶらさげていざ出陣!
 
・・・・・・・・・・・・・・話は延々と続き、秋田が2人、愛知が1人。
さぁ、困った・・・。いきなり「杜氏はどっちがいいか?」と聞かれてアタフタとするだけで「どっちもいいですよねー。」なんて答えるのが精一杯。堂堂巡りで話が中々進まなかったのですが、「杜氏が秋田まで行って探してきたのだから秋田に決めよう!」という最年長の下仮屋さんの言葉で、全員納得の上、秋田生まれの種麹・酵母を使った焼酎に決定しました。
ネーミングの方はいとも簡単に決まりました。
はるばる秋田からやって来た種麹と酵母に敬意を表して

《杜氏の想い 千里の夢》
です。
こんな感じで酒販青年の皆さんのプライベートブランドが出来ました。
来年には酒税法も改正されて免許もかなり緩和されます。そういう状況の中、酒販青年の皆さんには是非頑張ってほしいですね。
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