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  芋焼酎紀行  
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第8回
大吟醸と芋焼酎[2003年1月]
1 月21日、
鹿児島、東京と飛行機を乗り継いで、私は雲の上にいました。
正午過ぎ、飛行機は秋田空港に着陸する為の下降を始め、その瞬間、雲の切れ間に『真っ白に雪化粧した秋田平野』が目に飛び込んできました。
なんか川端康成の「雪国」みたいになりましたが、今回は念願叶って秋田県平鹿郡平鹿町にある『浅舞酒造』と言う清酒蔵で大吟醸造りを体験する事になったのです。何しろ、私は自分の蔵の造りしか知りません。師匠の黒瀬杜氏に習ったことを基本にいろいろやってはいますが、他の蔵での仕事は経験がありませんし、まして清酒造りを体験できるなんて夢のようでした。だからこの話があった時はとってもうれしかったですね。『子供が遠足の前夜に眠れない』、そんな気持ちでした。
さ て、
清酒と焼酎は何が違うかと簡単に言うと、清酒は醸造酒(搾り酒)、焼酎は蒸留酒という所なんですが、基本的には造る過程はほとんど一緒で、違うのは原料と仕込み時の温度管理ですかねー。
造 りの中で、
まず最初に米で麹を造ります。これは清酒も芋焼酎もほとんど同じやり方なのですが、米の精白歩合が違います。純米酒は、50%前後の精白歩合、まして大吟醸たるや38%と、米のほんの中心部(真珠のようでした。)だけで造るという、私から見たらとんでもない精白歩合なのです!ちなみに弊社が使用している原料米の精白歩合は約80%です。
精米が済んだら原料米を洗って蒸す訳ですが、何しろ場所が場所だけに(秋田県でも雪の多い所として有名な横手市の近くです。)寒いのなんのって。南国生まれの私にはかなり堪えましたネ。冷たい水(水温8℃くらい)で素手で洗って水切りする作業は、私にはとても新鮮で感動すら覚えました。自分たちはいつも機械相手で仕事をしているものですから、米に心が通じていないようなそんな気がした洗米作業でした。洗米の次は、米を蒸します。これはほとんど芋焼酎のときと変らないのですが、さすがに精白歩合38%の米は蒸したらピカピカしていて、食べても美味しかったですね。(芋焼酎用の米もうまいですけどネ。)
浅舞酒造の麹づくりの様子
櫂入れの様子※
右端が浅米酒造の森谷杜氏さん、真ん中が私です。
つ づいて醪ですが、
これは私たちがやっている醪の温度管理とは全然違いますね!!
大吟醸の場合は、とにかく低温(10℃前後)で長い期間発酵させていきますね。醪日数で、約40~50日ぐらいですかね。寒いところだからできるのでしょう。(焼酎だったらとっくに腐らせています。)それから、発酵が終わったら液状(清酒)と粕に分離します。これを上槽(じょうそう)、又は槽掛(ふながけ)と言います。
芋焼酎の場合はどうかと言うと、醪の最高温度は32℃で、麹を造ってから蒸留するまで16日~18日かかります。鹿児島は暑いので、醪の発酵期間を長くしすぎると腐ってしまうので、サッサッと蒸留してしまいます。
焼酎豆知識→
清 酒造りは、
原料米から醪まで細かい作業にこだわりながら気長にやっておられて、今、自分が焼酎造りの中で足りないものが少しはわかった3泊4日の体験でした。今後はこの体験を活かして、うまい焼酎を造っていきたい、そう思っています。また、今回私を清酒蔵に紹介して下さった秋田今野商店の専務さんを始め、心より受け入れて下さり、貴重な体験をさせて下さった浅舞酒造の社長さん、杜氏さん、蔵の皆さんには本当に感謝しております。
最後に清酒造りに関してはまったくの、ど素人なもので、多少の勘違いは大目に見てやってください。
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